アメリカは財政赤字のため、国債には償還のあてがありません。
公的資金注入は、ドル危機の危険をはらんでいるのです。
のまま放っておくはずがありません。
O新政権は減税と公共投資を合わせて総額1500億ドルの景気対策を実施する可能性が出てきました。
会計年度(○年○月〜○年9月)のアメリカ財政赤字は4548億ドルで、○年度の1615億ドルから2933億ドルも増加しました。
景気の悪化で歳入が5年ぶりのマイナスとなったことが、赤字増大の大きな原因でした。
ドルの全面高(円に対しては除く)は長く続かない、強いドルの時代は終わると考える理由は、アメリカ国債の増発によるものです。
アメリカ政府は金融機関を救済するために公的資金を投入してきましたが、その原資を調達するという理由からアメリカ財政赤字は、景気が後退し、かつ経済対策、金融安定化のための公的資金など支出が増加して、1兆ドルを超える可能性が出てきました。
○年度に比べて5500億ドルの増加となります。
問題はこれだけのアメリカ国債の発行が、スムーズにいくかどうかです。
アメリカ国債購入者の内訳が会計年度に関しては、○年○月から○年6月までの9か月分について、FRBから公表されています。
それによれば、3300億ドルの新規国債発行額に対して、それ以前に発行された国債の転売分を含め、5050億ドルを外国人アメリカ財務省の統計では、国債をどの国が購入しているかがわかります。
会計年度の○年○月から○年9月までの合計でみると、第1位がイギリスで1850億ドル、第2位が中国で730億ドル、第3位がブラジルで350億ドルです。
日本はわずか○億ドルです。
おそらくイギリスの背後には産油国のオイルダラーがあると推測されます。
アメリカは外国人が国債を購入しないと、景気対策も金融安定化対策も事実上できなくなってしまいました。
○年度に○年度と比べて国債が5500億ドル増発されるとしますと、アメリカの金融機関が新たに購入できるのは、せいぜい2000億ドルくらいです。
アメリカの家計が過去もっとも貯蓄率を引き上げたのは、1.8%(別年)でしたので、○年度に仮に貯蓄率を2%引き上げるとすれば、2000億ドルの貸出を銀行が回収したことになり、銀行は貸出を回収した分、国債を新たに購入することができます。
1415億ドル(○年193億ドルから○年1609億ドル)でした。
○年度は○年増加分の倍以上のペースで外国人がアメリカ国債を購入することが必要になってきます。
ヨーロッパや中国、日本も不況対策として財政出動をしますので、アメリカ国債を前年度に比べて3500億ドルも追加購入できる余裕はないはずです。
国債の発行のたびに、ドルが下落していく可能性がもっとも高いでしょう。
各国政府はドル急落の事態を受けて、ドル防衛策の名目で国債を買うことになります。
値下がりするのがわかっているドル建てのアメリカ国債を、アメリカの金融システムを安定化させる目的で購入するのです。
そこでポイントとなるのは、本当に各国の中央銀行がドル買い介入に応じるかどうかです。
ドルが将来にわたって安定的だという見通しがないと、傭路するはずです。
アメリカは円建てやユーロ建てのアメリカ国債を発行せざるを得なくなるもしれません。
結局、もっとも多く出資に応じるのは、中国と中東と日本になるでしょう。
仮にドルの買い支えに成功しても、すでにそのときはアメリカの地位は揺らぎ、ドル基軸体制の終わりが始まっています。
次の5年間がすぎるころ、アメリカがこれまでと同じような世界の中心、あるいは世界の最後の買い手として、世界経済を引っ張っていくことはおそらくできないでしょう。
1995年から出現した「アメリカ投資銀行株式会社烏あるいは「アメリカ金融帝国」は、アメリカにお金を呼び込むために、外国人投資家に対して、常に高いリターンを得られる証券化商品を提供してきました。
住宅バブルがはじけたあと、サブプライムローン関連の証券化商品に代わる、アメリカに投資すれば儲かるという仕組みをつくれないとすれば、先述の毎月必要な915億ドルが入ってこなくなり、「アメリカ投資銀行株式会社」のモデルは、根底から崩れてしまいます。
○年7月、8月と2か月連続で、外国人投資家は「アメリカ投資銀行株式会社」からお金を引き出しています。
○年からアメリカ財務省は対内対外証券投資データを公表していますが、2か月連続で外国人がアメリカからお金を引き出したのは、過去に株価が大きく下落していることを考慮すると、4か月連続となって、「アメリカ投資銀行株式会社」最大の危機に陥っているのです。
日本が○年度に○兆8000億円のドル買い介入をしたときは、結果としてはアメリカを助けることになりましたが、同時に円安に誘導し、日本もデフレから脱却しようという自らの目的があったからです。
のちに述べるように、これからは金融経済と実物経済のバランスが回復する方向に向かうとすると、投資家はアジア諸国に対して実物投資をするでしょうし、すでに「世界の最後の買い手」でなくなったアメリカを、何が何でも助けたいとは思わなくなるでしょう。
つまり、アメリカは世界経済の次の景気回復の主役になれないのです。
B政権の顧問を務めたR・H外交問題評議会会長は「世界は今後、無極化(ノンポラリティ)の時代になる」と言っています。
政権の中枢にいる人物も、アメリカはもはや世界の中心ではないと考えているのです。
O新政権は、いままでの新自由主義政権とは変わり、モンロー主義とまではいかないにしても、かなり内に閉じこもるような政策をとることになるでしょう。
外国に対して、以前のようなリーダーシップを発揮できなくなると思います。
アメリカは国内の立て直しが最重点の課題ですが、外国からお金が入ってこないと進まない。
入ってこないとすると、国民が消費を減らし、生活レベルを落とさざるをえなくなってきます。
となると、経済成長は望めず、O新政権はその対応に苦慮するはずです。
次の4年間のO大統領の任期中、つまり、○年から○年までのGDP成長率予測は年平均マイナス0.6%です。
中産階級の再建を託されたO新大統今回の世界金融危機では、すでに国際協調の流れが生まれています。
その一つは2008年○月○日にワシントンで開催されたG7で出された「行動計画」です。
これを見ると、まず前文で「緊急かつ例外的な行動」の必要性を自覚し、金融システムの安定と信頼回復を訴えています。
以下の5項目をまとめると、大きな金融機関の支援、流動性の供給、公的資金、民間資金による資本増強、預金者保護、市場機能の回復、ということになるでしょう。
信頼性を回復して、安心してお金が動かせるようにするための措置が並んでいます。
サブプライムローン関連の証券化商品に直接踏み込んでいるのは、5番目の項目です。
この証券化商品のなかにはレベル3として分類される、ジャンク(クズ)と化して値段がつかないものがありますが、この金額が非常に大きいと予想されています。
銀行の自己資本以上にレベル3を持っているところがあるともいわれています。
その場合は公的資金で増強します、という意味だと思います。
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